大動脈解離という病気について

 

どうも寅八です。

 

今回は私が2年前に経験した『大動脈解離』という病気についてお話いたします。

正直私も自分自身がこの病気になる前は全く知らない病気でしたが、なった後は意外とちょいちょい見聞きする病気でしたので、もしかしたら知っている方も多いかもしれませんね。

 

大動脈解離とは簡単に言うと「大動脈が裂ける病気」です。

「大動脈が裂ける?!」と思われる方、私もそう思いました。

私が病院に担ぎ込まれ、色々と検査をされる中で一人のER医師が発した言葉が正に「大動脈がさけてる!」でした。

 

私は苦痛に耐える中で「大動脈が裂けるってヤバいんじゃないの?でも、俺生きてるよな?」と頭の中で考えていたのを今でも覚えています。

いや、でも本当に私の場合は運が良い事が続いて助かりましたが、いわゆる突然死といわれる病気の中のひとつでもある恐い病気です。

なので、高血圧や身内に血管系の病気になった人がいる様な方は特に注意すべきで、病気についても知っておいた方が良いかと思います。

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 【大動脈とは?】

先ず知っておく必要があるのが、やはり大動脈という血管について。

心臓から出た血液が体の隅々まで送られる為に、最初に通って行く一番太い血管が大動脈であります。

そこから、頭や両腕・両足・様々な臓器へ送る血管に枝分かれしているので、樹木で言えば幹にあたる血管です。

 

心臓からまずは上に向かって延びており(上行)、次に三つの枝葉の動脈がある部分が弓なりの様な形で背中側へ(弓部)、そこから下へみぞおち辺りへ降りていって(下行)、更に下お腹のへその辺りで二股に分かれるまで(腹部)続いています。

 

太さは3㎝程度(腹部は2㎝程度)と場所によって太さに違いはあれど、外膜中膜内膜という3層構造となっていて、それにより弾力と強度を保っています。

 

【発症のメカニズム】

3層構造である大動脈の内側の内膜が何らかの理由で裂け目が出来る事によって、中膜の部分に血液が流れ込み、下流に向かって水ぶくれの様に裂けて行く状態になります。

最初の裂け目が出来る箇所や裂ける範囲は人それぞれで、その状況により命に係わるリスクが大きく異なりますが、いずれにしても早期に処置をしなければ、命を落とす事に繋がる病気です。

 

【分かれる発症タイプ】

解離した場所によってスタンフォードA型B型に分けられ、治療方針も変わってきます。

A型は心臓に近い上行大動脈に解離がみられる場合で、命の危険リスクもB型に比べ高い為、基本的に緊急手術が必要になります。

更にA型は、さまざまな合併症を発症しやすく、放置すると48時間以内に心タンポナーデ(注1)や破裂で絶命するリスクが5割程度あり、解離した部分の血管を人工血管に置き換える事が多い。

 

B型の場合は血圧を下げて安静にして様子を見ながら、破裂を防ぐといった対応になり、状況により人口血管置換やステントグラフト(血管の内側から補強する人口血管)などの血管内治療を行う事もあります。

 

(注1)心臓の周囲に血液が溜まって心臓を圧迫することによって起きるショック状態。

 

【病気の特徴】

発症の年齢で一番多いのは70代がピークですが、30~40代も少なくない。

発症率は年間一万人に一人の割合で発症しています。

発症と共に強烈な痛みを伴う場合が多く、治療出来る病院も限られている為、救急搬送中に命を落とす人が2割程度というデータもある。

 

【予防】

加齢と共に訪れる血管の硬化や遺伝的な要素などハッキリとした原因も未だ掴めていない病気ではありますが、それ以外にも高血圧や喫煙習慣のある方の有病率が高いというデータもある事から禁煙高カロリー食を控える肥満や運動不足に注意する。アルコールを取り過ぎないストレスの軽減十分な睡眠をとるなどの生活習慣の改善が有効と思われます。

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【まとめ】

大動脈解離という病気は、何の前触れも無く突然発症し命の危険リスクが高い病気です。

特にスタンフォードA型の場合は緊急手術が必要となり、発症後は速やかな対応が必要です。更に手術など治療の出来る病院は限られ、数が少ない。

 

私の場合はスタンフォードB型で、発症状況や処置までの対応も早かった事で運よく、カテーテルによるステントグラフト挿入手術を受け、命を繋ぐことが出来ました。

とあるTV番組で観た情報では、仕事が忙しく生活リズムが不規則などの方の発症が多い(ストレスや睡眠不足)というのと、車の運転中に発症するケースが多い(無意識に心拍数が上がる)らしいのですが、そのどちらも私の場合はきっちり当てはまっていました。

 

私の実感としても、やはり普段の生活習慣が大切なのかと思います。

高血圧で生活習慣が乱れ気味、尚且つ遺伝的に血管系の病気に弱いと思われる方は特に注意しましょう。